脳振盪と併せて知っておきたい頭頚部外傷❺「びまん性軸索損傷」
今回は「びまん性軸索損傷:びまんせいじくさくそんしょう」についてです。
びまん性軸索損傷の“びまん性”とは病変がはっきりと限定することができず、広範囲に拡がっている状態そして軸索とは、神経細胞の一部が細長く伸びたもので、神経細胞本体からの信号を別の神経細胞に伝える電線のような役割をしているものの一つ。
この投稿では、症状や対処法、注意点について解説したいと思います。
※私は医師ではありませんが、頭のケガの一つとして知っておくことが重要だと感じ、発信しています
【びまん性軸索損傷とは?】
頭部外傷(頭のケガ)で、脳に回転力や揺さぶられるような力が加わった時、白質と呼ばれる脳の中でも軸索がたくさんある部分が広範に歪み損傷を受けること。
【主な原因】
頭部への強い衝撃や急激な加速度変化によって脳組織に歪みを生じさせることが原因と言われています。
❶ 外傷や転落、スポーツ活動:頭部や顔面への衝撃や外傷
❷ 揺さぶられっ子症候群:乳幼児が乱暴に揺さぶられたり、投げつけられたりする状態
【発生のメカニズム】
頭部に回転性の外力が加わることで、脳の表面(頭蓋骨)の接線方向に外力が加わり、軸索が引っ張られたり、断裂したりして損傷が生じる。頭部を直接強打しなくても生じることがある。
【びまん性軸索損傷の特徴】
脳挫傷や急性硬膜下血腫などといった局所性脳損傷と異なり、受傷部位の特定が難しいという特徴がある
【主な症状】
● 意識喪失や昏睡
●認知障害(記憶や集中力の低下)
●情緒不安定
●人格変化(感情が変わりやすい)
●身体的な問題(バランスや運動障害)など
【診断方法】
● CT検査を実施しても、局所的な脳損傷が見られず、受傷徳碁より6時間以上意識喪失が続いた場合、びまん性軸索損傷と診断
● MRIが有用:意識障害が続くがCT検査では異常がない場合でも、MRIで脳の傷を表すような小さい出血がみられることがある
【対処法・治療法】
● びまん性軸索損傷が発症している場合、重傷を負っている状態になるので、迅速に病院で治療を受ける必要がある
● しかしながら、有効な治療法は確立しておらず、手術療法も有効ではないため、対症療法が治療の中心となる
【予後】
一般的には、意識消失時間が長い重症のびまん性軸索損傷であるほど、転帰(経過や結果)不良とされており、特に脳幹障害が認められると死亡率は高く、救命できた場合でも意識障害や高次機能障害などの後遺症が残ることが多い。
【DAI】
びまん性軸索損傷は、英語で「Diffuse Axonal Injury」と呼ばれ、DAIと略して表記されることが多い。
【脳振盪との関連】
画像診断では異常がみられないびまん性軸索損傷を、脳振盪と捉えている場合もある。
逆に軽症の頭部外傷である脳振盪と診断されていても、後遺症が継続している場合、びまん性軸索損傷(より重)の可能性もある。
【終わりに】
スポーツ活動中の頭部外傷、頭のケガは、その場で頭の中を見られるわけではなく、医師が現場にいたとしても確定診断はできません。重症でないことを確認するためにも病院、クリニックの受診は必ず行いましょう。
【まとめ】
頭に回転の力が加わってケガを負った際は、びまん性軸索損傷になる可能性がある。病院でしっかり診察、検査をしてもらって適切な対処を取るように心がけましょう。
いつも投稿を最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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