保護者のための頭のケガの知識 ②「 外傷性脳損傷(がいしょうせいのうそんしょう)って何?」
今回のシリーズは、保護者の方を対象に発信します。子どものスポーツ現場でケガが起こっても専門知識がない、病院に行っても説明が難しすぎる、そんな状況を少しでも改善できれば幸いです。
また、本投稿が、お子さんのスポーツ環境を安全なものにするためのきっかけになれば、それも嬉しいです。
【外傷性脳損傷とは?】
先日の記事の「頭部外傷」のうち外部から加わった頭への衝撃により、脳の組織が損傷された状態、つまり脳に生じたケガのこと。軽度から中等度、重症と分類され脳挫傷や硬膜下血腫などが含まれる。
【TBI = 外傷性脳損傷】
外傷性脳損傷は、英語でTraumatic Brain Injuryと呼ばれ、頭文字を取って“ TBI ”と言われます。
【TBIの主な原因】
● 転倒や転落
例) 運動中や家での事故
● 交通事故
● スポーツでのケガ
● 暴力や衝撃
【TBIの主な分類(簡単に)】
● 脳挫傷(のうざしょう):脳が損傷して出血する状態
● びまん性軸索損傷(びまんせいじくさくそんしょう):強い衝撃による脳内の神経線維の損傷
● 硬膜下血腫(こうまくかけっしゅ):頭蓋骨の内側で出血し、血液が溜まることで脳を圧迫する危険な状態
● 脳振盪(のうしんとう):画像検査では異常は見られない、一時的な意識障害や混乱を伴う脳へのダメージ
【TBIの重症度の分け方】
以下の要素で決定します
● 意識喪失の時間
● 昏睡状態(意識レベル)の程度
● 健忘症の程度(記憶の影響)
● 画像診断の結果
【TBIの重症度】
● 軽症
・僅かな時間の意識喪失(30分以内)
・受傷後1時間以内の健忘
・昏睡状態レベルはほぼ正常
・画像診断は異常所見なし
● 中等症
・意識喪失が30分~24時間
・受傷後1-24時間の健忘
・昏睡状態レベル(意識低下を確認)
・画像診断で異常所見
● 重症
・意識喪失が24時間以上
・受傷後1日以上の健忘
・昏睡状態レベル(意識はほとんどない状態)
・画像診断で異常所見
【TBIの主な症状】
● 頭痛
● 意識傷害
● 吐き気
● めまい
● 混乱、感情の変化
● 記憶力・集中力の低下
● ボーっとする
● 動きが遅い など
【TBIが疑われる時の対処法】
● 他のケガがないか確認
・大きな腫れや出血がないか
● 無理に動かさない
・首や背骨のケガが疑われる場合は、専門家の助けを待つ
● 医療機関への搬送、もしくは救急車を呼ぶ
【TBIの注意点】
皮膚は大丈夫、頭蓋骨は大丈夫でも、
頭の中の脳がダメージを受けている場合があること。
そして、
だからこそ、症状が後から酷くなってくる場合があること。
そのため、受傷直後は大丈夫でも、注意しなければなりません。
【少しでも変だと感じたら】
症状は数日後に現れることも。
だからこそ、普段と比較して「何か変…」は当たっている可能性があります。
その場合は、すぐに病院へ。
【TBIに対する対策】
● 安全教育を学校やチームで行う
● 受傷後の注意サイン(吐き気や意識障害)を周知
● スポーツで起こった際は、専門家への診察・相談を
【まとめ】
● お子さんが頭を打った際は、まずは落ち着きましょう
● 症状をチェックし、必要であればすぐに病院へ
● 受傷直後の状態だけで判断しない
● 万が一に備えて、基本的な知識を持っておく
● その知識を周りと共有する
お子さんの安全のため、知識は最大の予防策
#中本真也
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