Freestyle Ski(HPSSBA) 国内合宿:脳振盪講習会開催報告!
今年も依頼をいただき、選手、コーチ、スタッフの皆さんを対象に講習会を開催させていただきました。
4年連続になり、脳振盪を含む頭部外傷への取り組みへの意識の高さを感じています。
振り返ると、
1年目は、情報の提供がメイン。
2年目は、選手からの質問も出てきて、より現場で起こりうること、その時にできることを踏まえての質疑応答になり、継続して講習会を行うことでの変化を感じました。
3年目の去年は、さらに質問が増え、またチームからの要望としても、雪山で選手同士でも頭を打った影響を簡易にチェックできることを教えて欲しいということで、実技を踏まえて実践。転倒して頭を打った際に、必ずしもコーチやトレーナーが近くにいる状況ではないので、選手同士でも少しでも何か確認ができ、その後のアクションも頭に入れておきたいとの意向で行いました。
そして、4年目の今年。私自身も昨シーズン、冬季スポーツに関わらせていただき、雪山で実際に起こっていること、またそれに対して感じたことを踏まえてお伝えさせていただきました。
私が感じた課題というのは、選手側もコーチ・トレーナー側も、知識をみにつけなければならないということです。
知識のない選手が「頭打ったけど、大丈夫です。いけます。」はこちらとしては、そのまま信用するわけにはいかない。
また、トレーナー側で問題がある場合は、「はい、頭打ったからもう中止ね。」みたいに、評価・チェックもせずに、なんでもかんでもダメにする。その背景には、「わからないけど、頭のことだから危険だし、何かあったら責任は取りたくない」。知識がなければそのように考える人も出てきます。
でも、それだと選手が納得できない。
お互いが納得するためには、妥協点を見出すためには、お互いが知識を持っておく必要があり、知識を持った上で、選手であれば自身の状態を冷静に判断し、トレーナーであれば評価を行って、頭を打った影響がどこかに出ている可能性がないかを確認する。その確認は知識を持っていないとできないことなので、頭部外傷については、本当にまずは知識が必要になるというのが自分の考えです。
ただ、私も選手をサポートしてきた立場として、なんでもかんでも機械的にダメとしたいわけではないということもお伝えさせてもらいました。より長く、深く関わった選手であればあるほど、情も入るし、頑張って欲しいという気持ちも強くなる。目の前にメダルがある、大きな大会がある。もちろん、目標は達成して欲しい。その気持ちはありながら、でも、コーチ・トレーナーという立場では、冷静に判断を下さなければならない。
それは、その選手の夢を打ち砕きたいわけでも、これまでの頑張りを否定するわけでもなくて、命に関わることだから、本当によく考えて判断を下さなければいけないことだと捉えています。
今となっては、このように講習会などの依頼をいただいて人前で偉そうに話をしていますが、私も昔は判断を誤ったことはありますし(疑いがあるのに競技を中止させなかった)、今でも自分の評価が適切か、判断は正しいか、迷う時もあります。
そんな話も含めて講習会を進め、今年は単に情報の提供・共有の場ではなく、3年積み重ねてきたからこそ、選手の意見や他のスタッフの意見もたくさん出て、ディスカッションだけで20~30分ほど経っていました。
選手の意識は間違いなく変わってきたと感じましたし、嬉しいことに、選手自身から「こういうことはもっとジュニアの時代から知っておくべき」という意見も出ました。
また、なるほどと思ったことは「人生はかけても良いけど(そのくらいの意気込み、気持ちで取り組む)、命をかけるのは違う。」という趣旨の話。
命がなくなったら目標にしているメダル獲得や例えばオリンピック出場もなくなるわけで、表現の仕方として命をかけているという言葉が出る「気持ち」は理解できるけど、それをそのまま受け止めてはいけないと感じましたし、そう選手が言ったから危険な状態でもGOを出すかと言ったらそうではない。
本当にその競技にかけてきた気持ちや努力、費やした時間にお金など、いろんなことを考えたら、キレイ事だけ(理論的なこと)を言って、納得してもらったり、理解してもらうことも難しいこともあると思いますが、それでも医療資格を持っている専門家、選手を預かっているコーチの責任としては「選手の安全」は最優先事項なので、そこは伝え続けていきたい。
今回の講習会で4回目ですが、毎回この講習会は選手にとっても、スタッフにとっても、頭のケガについて考えるきっかけになっていますし、本当に意識高く、より良い環境を求めて取り組んでいるということを感じました。
今年のミラノ・コルティナオリンピックでも、海外のスノーボードの選手で、練習時に転倒して脳振盪になった選手がいました。
診断名を下すチームドクターも、下される選手も、いろんな気持ちが入り組んだと思います。その時点でオリンピックの試合では滑れないことが確定するので。
「みんなだったらどう感じる?」その問いかけも深かったです。
そのようなことが起こる前に、前もって考えておくことも大切。
試合中、受傷直後は、感情面が強くなって、冷静に判断できないかもしれない。
そう考えると、今回のディスカッションではいろんな意見の交換があり、本当に良い時間になったと思います。
このような取り組みが、いろんな団体でも行われ、選手の安全を守りながら、選手のパフォーマンスを最大限に発揮できるように、より良いサポートに繋げてもらえたらと思います。
今回も開催していただき、ありがとうございました!